Stay with me -on Christmas day 05-

二人でロックフェラーセンターのツリーを見に行き、人込みに酔いながらも、光に彩られた壮大なツリーも堪能しての帰宅後。
英二はソファに腰かけ、点けっぱなしになっているテレビをBGMに日本から入ってきた数週間遅れの少年漫画の雑誌を捲っている。
英二の膝の上には室内の光を受けて、身動きするたびにきらきらと光る塊が。
「なぁ、英二。・・・なんでオレに教えてくれなかったんだ?」
下から英二の顔を覗き込んで、不思議そうにアッシュが疑問を口にする。
「・・・君、まだ、そんなこと言っているの?」
少々呆れた口調で英二が返せば、アッシュは言い訳するように少し口を尖らせた。
「だって、結局、教えなかった理由は言ってねぇじゃねえか」
「・・・君、本当に分からないの?・・・それとも、言わせようとしてる?」
眉尻を下げて英二が聞き返したが、アッシュは今度は誤魔化されないという視線で下から英二の顔を凝視しているのが分かる。
英二の返事を待つこと暫し。英二は雑誌を見た振りしてアッシュに視線を合わせないが読んでいないのはページを捲らないことからも明らかだ。
アッシュがじっと英二の顔を見続けていると英二の耳が段々赤くなってきて、遂に根負けした。
「・・・・・・。日本男子は恥ずかしいの!帰国しないで一緒に君とクリスマスを過ごすなんて言った直後に『日本ではクリスマスと言ったら恋人たちのイベントの日でもあるんだよ』って言えるわけないだろう!君たちアメリカ人と一緒にするなよ!」
ぎゅっと目をつぶって、一気にまくし立てるように言い切ると英二ははあはあと肩で息をした。
「ぷっ」
「あ!笑ったな!自分で聞き出しておいて笑うなよ」
噴き出したアッシュお腹に上から拳を当てて、英二が不満を露わにする。
英二の膝に頭を乗せたまま体を折って暫し大笑いをした後、ようやくアッシュは目を開けて、英二の膝の上に頭を乗せたまま腕を伸ばして英二の髪に触れる。
大笑いした後だからか、少し潤んだ翡翠色の瞳でアッシュは英二を見上げた。
「じゃ、オレは恥ずかしくないアメリカ人だから、恥ずかしいことも臆面もなく言えるんだぜ?」
笑いを堪えるように細められた瞳には甘い雰囲気が湛えられている。
「恥ずかしがりやの恋人が帰国もせずに一緒に日本式のクリスマスを過ごしてくれるなんて、こんな日には神様ってやつを信じてもいい」
「アッシュ・・・」
英二の髪に触れていたアッシュの伸ばされた腕は英二の後頭部へと回されると下に引き寄せた。

2019年1月15日
年が明けてしまった...

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