Holy Night 04
本物の木でツリーというだけでも感動なのに、こんな都会の真ん中で森の見紛うほど多くの木が置いてある中で自分で木を選ぶと考えただけで、英二はわくわくして、感嘆の声しか出ない。
「早く選んでくれないかな?この後、オーナメントも買いに行くんだろ?木を見る前から、そんなに時間を掛けられちゃ、陽が暮れちゃうよ」
わざとらしくかわいい言い方をしているけど、明らかに英二をからかっている。
「初めてなんだから、もう少し感動させてくれよ。でも、何を基準に選ぶの?」
英二の“初めてなんだから”にアッシュは目を細めて嬉しそうに答えた。
「そうだな。英二が飾りつけをできるように、このくらいかな?」
と言って指差した木は英二の肩ほどの高さしかない。
「も〜っ。僕はもっと大きい木が欲しいんだよ!」
むくれた英二が叩いてくる手を、片手で避けながら腹を抱えて笑うアッシュは普通の青年そのものだ。この青年がかつて、マフィアと対等に渡り合っていたとは誰も想像しないだろう。
英二はそんなアッシュの心の底から楽しそうな顔を見られて、今が幸せだと感じた。
アッシュと英二は「高さはあれがいい」だの、「種類はこちらがいい」だの、「枝振りどうだ」と時間を掛けて検分した後、一本の木を選んで、後から家に届けてもらうことにした。
「しかし、便利になったな。木を支えるスタンドもスタンドを覆うスカートも全部セットで店がやってくれるって言うんだから。昔はここまで親切じゃなかったんだぜ?」
店員に支払いを済ませて、配達までの手配も済ませた後、戻ってきたアッシュは英二に半ば感心したような、それでいて呆れてもいるような微妙な顔をした。
「最近のサービスなのかもね?昔は違ったの?」
「あぁ。グリフが自分で苦労してセットしてたよ。オレは小さくて役に立たなかったからな」
懐かしいものを思い出すような少し悲しみの宿った目で視線を伏せ、アッシュは英二に言った。
「クリスマスの準備なんて、久しぶりだけど、悪くないな」
悲しみを笑いで流し去ろうとするように少し無理に笑って、アッシュは英二へと顏を向けた。
「アッシュ・・・」
英二はアッシュの顔に息を呑んだが、すぐに明るい調子でアッシュの肩を叩いた。
「そうだろう!?だから、さっさと次に行かないと。まだ、オーナメントだって買わなきゃいけないんだからね!もたもたしてると日が暮れるって言ったのは君だよ?さ、行こう」
「あぁ」
ツリー・ファームなるものや、ホームセンターみたいなところでは植わっている木が種類も多く、ずらりと並んでいるらしいですΣ(@△@;)
そして、既に切ってあるものありますが、その場で切ってもらったりもするらしいです。すごいですね〜。
足元ってどうなってるのかなぁと思っていたら、セットして、ネジ(?)で留めるスタンドに立てて、スカートなる布で覆うようです。
木の香りがして、生の木は譲れないと思っている人が多いらしいですね。いいな〜。
(2012年12月22日コメントから)