再会 01

ここはどこだろう・・・。
風が強い。
・・・あぁ、ケープコッドだ。
銃を握ったことがないなんて平和ボケした国からやってきた英二に銃を撃たせる。
標的を思いっきり外したくせに、嬉しそうに笑い掛けてくれる。
あたたかさを感じさせてくれる笑顔・・・。
眩しい笑顔・・・・・。

アッシュの閉じた目にも眩しい光が飛び込んでくる。

「・・・ぅ」

窓のカーテンを開け放った眩しさに思わず呻いたアッシュに黒髪の白い服を着た女性が気が付いた。

「まぁ!気が付いたのね!」

と声を上げるとアッシュが返事するのも待たずに部屋を出て行ってしまった。
すぐに起き上がらなくては、と思うものの、体が思うように動かない。
とにかく状況を把握しなくてはと周囲に目を遣ると、自分が大きな部屋の中にぽつんと置かれた大きなベッドで横たわっていることに気付く。
体には無数のチューブが繋がっていて、固定された腕には点滴が刺され、その先には何かの薬品瓶がぶら下がっている。
脳波、心拍数を図る機械もあるようだ。
周囲の様子はまるで病室のようだった。
自分の置かれた状況を理解しようとしていると、隣の続き部屋から入って来た人物がいた。

「・・・・・ユーシス」

黒を基調とした銀と赤の刺繍に彩られた民族衣装を纏ったユーシスは長い黒髪を一つに結ってサイドに垂らしている。

「そんなに警戒しなくてもいいだろう?恩人のぼくには、もう少し敬意を払ってもいいと思うよ」
「何が敬意だ。敵意はあっても敬意なんかあるか!・・・・・・・・・・恩人とはどういうことだ?」

思うように体の自由が利かないことに加えて、前後の記憶がなく、自分がここにいる状況も把握できないアッシュはイラついた様子でユーシスに問う。

「少しはおとなしくなるのかと思ったけど、やはり野良猫は野良猫のままだね。飼い猫にはならないようだね」

大仰にユーシスがため息をついた。
思うようにならない体に力を入れて、上半身を少し起こして、アッシュは強い調子で再度問う。

「質問に答えろ!“恩人”とは何のことだ!?ここはどこだ!なぜオレはここに居る!?」

そして、はっとしたように最後に聞く。

「・・・・・英二は?」

消え入るような声で英二の所在を訊ねたアッシュにユーシスは白けた顔をして、ベッドサイドに歩み寄る。

「生まれ変わっても、『英二。英二。』とは興ざめだよ。やはり記憶が混濁しているようだね。そんなに興奮しなくてもいいだろう?」

“興ざめ”だと英二に対して悪意を滲ませて語るユーシスの顔をアッシュは強く睨みつける。
ユーシスは傍に寄ってくると上半身を起こしたアッシュにそっと手を伸ばし、肩を優しく押す。
肩口を押されたアッシュは柔らかな枕に体を押し戻され、枕に体を預けることになり、呼吸が少し楽になった。

「ここはぼくの邸宅の一つだよ。君は死にかけたんだよ」

「・・・死にかけた・・・?」

怪訝そうな顔でアッシュは鸚鵡返しに聞き返す。
ユーシスはふっと笑い、続けた。

「まだしっかり思い出せないようだけど、君はラオに刺されたんだよ」

思いのたけを思いつきそのままに書くと、書き進めた先で前後のつじつま合わなくなったりして、何度も書き直したので、思ったより時間が掛かってしまいました(><)
毎日連載の方はすごいですね。
納得行くものか?と聞かれるとまだまだとは思いますが、「こーんな“生き”パターンもあるよね」と思って読んで頂ければ嬉しいです
(2012年4月2日コメントから)

inserted by FC2 system